Talk Event - 砂の本 The Book of Arena
この度、布施琳太郎と八木幣二郎による二人展『砂の本 The Book of Arena』の関連トークショーを開催いたします。
批評から哲学研究、日記までの幅広い執筆活動を展開されている福尾匠さんをお呼びしてのトークとなります。ドゥルーズの著作『シネマ』について論じた『眼がスクリーンになるとき』(フィルムアート、2018年)がはじめての単著である福尾さんですが、二冊目の単著『日記〈私家版〉』(自主制作、2022年4月)のブックデザインは八木幣二郎がつとめています。
また布施は、自身が昨年キュレーションした『惑星ザムザ』に対する福尾からの批判的なSNSでの言及を起点として、議論を深めるために新宿のデカメロンにて小泉明朗と布施の二人展『Body』を企画し、対面でのトークを行いました。
こうして、私たち二人の過去の活動と縁を持つ福尾匠さんですが、それ以上に、現在彼が雑誌「群像」にて連載中の『言葉と物』が刺激的であることが今回のイベントの開催理由です。そこでは「批評」の再考を通じて、現在のコミュニケーションを広い視野から捉えようとします。なかでも連載の副題にも据えられた「置き配的」という言葉は、これまでの批評が自明としてきた読者像に疑いを向けるものに思えます。Uber Eatsをはじめとした宅配サービスは、GPSやテキストチャットなどと組み合わさることで、過去の郵便とは異なり、情報(言葉)と物流(物)の空間を完全に一致させてしまいます。こうした整理は、過去の批評や郵便が、言葉と物の、それぞれの空間のあいだにブラックボックスがあったからこそ可能な営みだったのかもしれないことに気がつかせてくれます。
宅配サービスへの言及は福尾による議論の一部に過ぎませんが、言葉と物の距離をどのように設計できるのか?という点から、どのように読者や客、他者、敵や友との関係が定義されるのかを考えることは、アートやデザインにとっても重要な問いです。
布施と八木が今回の展示で制作した平面作品と本は、まさに言葉と物のあいだの空間を、大規模言語モデルの構築過程を逆走することで再考するものだとも言えます。三者三様の専門性から「置き配的」ではない別の制作論、つまり言葉と物のあり方について考える時間となれば幸いです。
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概要:Talk Event - 砂の本 The Book of Arena
日時:10/1(日)19-20時
ゲスト:福尾匠さん(https://twitter.com/tweetingtakumi, https://gendai.media/articles/-/112819)
入場料:500円(当日現金のみ、配信なし)
定員:先着20名
会場:POST-FAKE projects(東京都港区六本木5-2-4 3F)